古民家再生
古民家って何?
日本の民家は、地域の気候や暮らし方に合うように作られ、人々の生活と密着しながら存続してきました。
養蚕をする地域では大きな屋根裏空間のある茅葺屋根の民家、土地の狭い街中では縦に細長い京都の町屋のような建物、というように、建物の形や機能は地域ごとに固有の特徴があります。
それらは地域の自然とともに、魅力的な日本の景観をかたちづくってきました。
また、民家はその土地で育った木や土を使い、素材の特性を活かしながら組み合わせてつくられています。
木材など材料の多くは再生可能で、実際に解体してみるとその前に建っていた建物から移設した柱や床板なども良く見受けられます。
ほとんどの素材は自然素材であり、解体後は土に還るエコ建築といえます。
古民家というと、一般的な住宅と区別する意味で上記のような特徴を持った築50年以上の木造住宅のことを指すことが多いです。
古民家の魅力
大切に引き継がれてきた古民家には、古い木材や漆喰の壁に囲まれた、温かく、懐かしい空間があります。それらは、今の一般的な家づくりで使われる新建材ではとうてい出せない豊かな表情を持っています。
最近ではそのデザイン性やダイナミックな空間を活かした店舗や宿泊施設も多く見受けられます。
古いからといってあきらめて壊してしまうと、二度と再生はできません。
壊すという選択をする前に、もう一度「再生」という選択肢を考えてみませんか?
古民家再生、古民家改修の流れについて
古民家の場合、その場で改修工事を行う「現地再生」の他に、 新たな敷地に建物をまるごと、または部分的に移築する「移築再生」、 建物の構造など一部を使う「部分再生」、柱や梁など一部の部材だけ利用する「古材利用」など、様々な選択肢が考えられます。
「現地再生」は通常の住宅の改修工事と同様に修復、増改築工事となりますが、場合によっては基礎部分を補強するために建物全体を上げたり、建物を数メートルレールに乗せて移動させる工事など伴うこともあります。
近年では大きすぎる古民家の不要部分を取り除き、コンパクトにして再生させる工事なども手がけています。
一般的に耐震性能を高めるためには大規模な工事になることが多いです。
「移築再生」は古民家を購入したり譲り受けた場合に、解体して他の土地に移築する工事となります。
「部分再生」、「古材利用」は新築の建物などに古民家の一部分を移築することで、古民家の曲がった梁や重厚な木組みの雰囲気をインテリアとして取り込んで楽しむ用途が増えています。
改修の流れについてはどのような再生かで違ってくるので一概にはいえないのですが、一般住宅よりも工期が1.5~2倍くらいかかると考えておいてください。
古民家の照明について
古い電線は耐久性、安全性の面から使えないことが多いので、ほぼ新品となります。
したがって照明器具はお好きなものを自由に、必要な明るさで配置することが可能です。
耐震について
古民家に住み続ける場合、耐震性の低さは大きな課題となっています。
先日の熊本の震災でも被害は古い木造住宅に集中していました。
古民家のような古い木造住宅では、南側に大きな窓が集中して耐震要素となる壁の量が少ないことが一般的です。
また、屋根は土葺きの瓦屋根が多く、重量が重く耐震的には不利になります。
加えて地震が来たときに建物が崩壊しないための筋交い(柱間にいれる斜めの木材)も十分に入っていないことや、 基礎が部分的にしかなかったり、あっても鉄筋が入っていないことなどもあり、 耐震診断をすると「倒壊の恐れあり」という結果が出てしまうことがほとんどです。
現実的には、2000年以前に建てられた木造住宅では上記のような問題があり、 ほぼすべての住宅で耐震補強が必要となります。
耐震改修の場合、建物の状態と合わせ、地盤の調査もしております。
改修の場合は建物の下に杭を打つことなどは現実的に難しいのですが、 基礎の補強方法など考える上でも地盤の強度を把握しておくことは重要となります。
建物全体を現行基準の耐震性まで引き上げることはかなりコストのかかる工事となります。
また、建物の状態によってもかかる費用が大幅に変わってきます。
住み続けるための耐震補強をご予算や建物の使い方などに合わせ、ご提案しております。
耐震診断だけでも受け付けておりますのでご気軽にご相談ください。
防断熱について
断熱工事は耐震化と合わせ、工事の中ではコストのかかる部分です。
ただ、今後快適に暮らしていく上では避けては通れない部分でもあります。
断熱材を入れる場合、気密化も一緒にすすめないと建物の性能は上がってきません。
また、中途半端に断熱化をしてしまうと、断熱の不十分な個所で結露の問題が起きることもよくあります。
断熱改修をお考えの場合は、建物トータルで考える視点が必要となります。
シロアリ被害はどうなるの?
古い建物の改修や調査に携わると、水回りではほとんどの場合シロアリの被害が見受けられます。
改修工事の際には身体に害の少ない、ホウ酸系の防蟻剤を塗布しています。