自然素材×バリアフリー_安心と快適を両立するリフォーム工事
- 2025/04/24
今回は埼玉県久喜市で現在進行中の住宅リフォーム工事について、ご紹介いたします。築50年ほどの木造住宅を対象に、特に水回りを中心とした増築・改修を行っています。
天然素材の持つ温かみとバリアフリー設計の機能性を両立させた、これからの時代の住まいづくりの一例として参考になれば幸いです。
プロジェクトの背景
このプロジェクトは私の実家のリフォームになります。80代の両親が快適に暮らせるよう、バリアフリーと断熱改修を主眼に置いています。
長年住み慣れた家をより使いやすく、そして温かい住まいにするための取り組みです。半世紀もの間、家族の生活を見守ってきた住まいには、思い出とともに経年変化による課題も積み重なっていました。特に水回りは生活の基盤となる重要な場所。毎日の暮らしを支える空間だからこそ、慎重に計画を練りました。
ダイニングキッチンの変化
従来は6畳ほどだったダイニングキッチンでは、家族3人の日常使いには問題なくとも、6〜7人が集まる場面では隣の居間を使わざるを得ませんでした。今回、北側に2坪ほど増築し、約10畳の広さを確保。家族や来客と共に食事を楽しめる空間にする予定です。
キッチンは単なる調理場ではなく、家族や親戚が集まり、会話が生まれる場所です。新しく設けた窓からは裏庭の緑を眺めることができ、自然光が室内に差し込む明るい空間となる予定です。使用する素材も、触れる部分には天然木を用いるなど、手に触れる質感にもこだわりました。
浴室の新設と改善
以前は別棟にあった浴室を、今回の増築に合わせて本体建物内にも設けました。新しいユニットバスは、冬場の温度差によるヒートショックの心配も軽減されます。寒い季節でも安心して入浴できる環境づくりを心がけています。
あまり一般的なパターンでは無いかもしれませんが、以前は浴室への移動も、雨の日や寒い冬場に外を通らなければならなかった不便さがありました。今回のリフォーム工事で、入浴という日々の生活の中で大切なリラックスタイムを、より安全に、より快適に過ごせるように、という希望を実現させています。これは、新築の住宅やマンションにお住まいの方にとっては当たり前かもしれませんが、古い木造住宅の場合は浴室が安全な場所になっていないケースが多いのも事実です。
洗面室の工夫
3.5畳と比較的広めの洗面室は、区切るという選択肢もありました。しかし、バリアフリーの観点から広さを活かし、必要に応じてロールスクリーンで仕切るというフレキシブルな解決策を採用しています。
車椅子でも余裕をもって使用できる広さを確保しながら、プライバシーにも配慮したこの設計は、将来の身体状況の変化にも対応可能です。
自然素材の活用
リフォーム全体を通して自然素材を積極的に取り入れています。壁には調湿効果のある珪藻土を全面的使用し、床には天然のコルクを採用するなど化学物質の少ない材料選びにこだわり、住む人の健康に配慮した空間づくりを実践しています。
これらの素材は経年変化による味わいも魅力のひとつ。時間とともに深まる自然素材の風合いは、長く住み続けるほどに愛着が増していくでしょう。
加えて、自然素材は室内の湿度調整にも一役買っており、冬場の乾燥対策や梅雨時の湿気対策にも効果を発揮します。
健康に配慮した住まいづくりは、特に高齢者にとって重要な要素です。
工事は着実に進行しており、現在は最終段階の仕上げ工事が進行しています。
次回の記事では、工事の様子をリポートする予定です。
当事務所では千葉県・埼玉県を中心に、木造住宅の設計を手がけています。ご相談はお気軽にどうぞ。新築からリフォームまで、住まいに関するさまざまなご質問にお答えいたします。