ユニバーサルデザインの実践:バリアフリー住宅のキッチン・洗面所
- 2024/10/11
先日ご紹介したバリアフリー住宅プロジェクトの続報です。
バリアフリーの住まいを設計する際、最も注目されるのはトイレ、キッチン、洗面所など、日常生活に欠かせない設備ではないでしょうか。これらの空間は、使い勝手が良くなければ日々の生活に支障をきたす可能性があります。今回は、そんな重要な設備のこだわりに焦点を当ててご紹介します。
車椅子のためのキッチン
車椅子使用者のためのキッチンで最も重要なのは、シンクの下に膝が入るスペースを確保することです。これが基本仕様となります。
コンパクトなこちらの流し台は、それに加えて先端が斜めにカットされているタイプを選びました。より自然な姿勢で作業ができ、使い勝手が格段に向上します。
また、壁取付式を採用したことで、高さを現場で自由に調整できる柔軟性も備えています。今回の場合は平均よりも身長の低い方でしたので、取付位置も通常よりも10㎝ほど低い位置にしています。最適な位置に設置できるよう、お施主さんにも寸法の採寸を協力していただきました。
ミラタップ(旧サンワカンパニー)という建材メーカーの製品です。
お客様のご要望に応えるため、造作工事での製作も視野に入れながら、さまざまなコンパクトキッチンを検討しました。しかし、この製品は車椅子用キッチンとしての機能性とデザイン性、そして価格のバランスが優れていたため、最終的に採用を決定しました。
キッチン全体の調和を考え、シンクの高さに合わせて作業台と吊戸棚は大工工事で製作しています。機能性と居心地の良さを両立させた空間となるよう、シンプルでありながら温かみを感じられるように心がけました。
車椅子のための洗面台
次に、バリアフリー設計の洗面台をご紹介します。
こちらも車椅子使用者を考慮した設計になっています。洗面台下部が開放的な構造になっており、さらにボウルの下部が斜めにカットされているのが特徴です。これらの工夫により、車椅子でも無理なく近づくことができ、使いやすさが格段に向上しています。
採用したのは、TOTOのマーブライトカウンターという製品です。この製品は病院や介護施設でも広く使用されており、信頼性が高いのが特徴です。また、一体型のデザインになっているため、お手入れが簡単なのも大きなメリットです。
さらに、十分な明るさを確保し、洗面台の横には広々とした通路を設けました。これにより、車椅子での移動もスムーズに行えるようになっています。使いやすいレバー式の蛇口、十分な明るさ、そして横には広々とした通路もあります。車椅子での移動もスムーズにできそうですね。
バリアフリーの設備に関しては、毎日使う場所だからこそ、細部まで配慮された設計が求められます。
使いやすさと機能性が最優先される部分ですが、なるべくデザイン性も損なわないよう、お住まいの中で違和感が生じないように心がけています。