耐震診断その②耐震診断の調査方法や費用の目安は?
- 2021/12/21
前回の記事では、建物の耐震性能についての基礎知識や、建設した年により耐震性能が異なってくる理由について解説しました。
詳しくはこちらをご覧ください。
さて今回は、家の耐震性能を知る為の耐震診断、そして耐震性を向上するための耐震補強工事についてご説明いたします。
住んでいる家や実家の耐震性に不安がある方や、耐震診断や耐震補強を依頼するか迷っている方の判断材料として、役に立てていただけたらと思います。
耐震診断の種類
木造住宅の場合、一般的に使われる耐震診断方法は【一般診断法】と【精密診断法】の2種類があります。
一般診断と精密診断の違いは次のようになっています。
一般診断法
図面と照らし合わせての目視の調査
耐震性に関係する劣化や老朽化もチェックするので、基礎や外壁だけでなく、室内の全ての部屋の壁や天井などを調査します。
(雨漏りや、壁のクラックなどが調査対象です)
図面が無い場合には、現地で間取り図など作成しながら行います。
結果は評点で表します。
0.7未満・・・・・倒壊する危険性が高い
0.7~1.0未満・・・倒壊する危険性がある
1.0以上・・・・・倒壊する危険性が低い
基本的に精密診断が必要かどうか判断するための診断となります。
精密診断法
耐震改修工事を前提としたより詳細な調査
前項に加えて天井内部や床下・壁内部の構造(柱や梁、基礎など)を調査します。
柱や梁を固定している金物の種類なども調査項目となります。
内部を見るために、必要に応じて天井や壁を撤去して調査していきます。
こちらも結果は一般診断同様の評点で表します。
適切な耐震改修工事をするために必要な診断となります。
耐震診断の流れ
お住まいの耐震性能を調べる場合には、まず最初に一般診断をするのがおすすめです。
というのは、精密診断は調査や入力により専門的な知識が必要となり、時間もかかるために、一般診断の倍以上の金額がかかってきます。
耐震診断、補強の流れとしては以下のようになります。
①一般診断・・・おおよその耐力を診断 評点0.7未満の場合は補強工事が望ましい
所要時間は2時間ほど
②精密診断・・・耐震改修工事をするための精密な診断
精密診断をすることで過剰な工事の必要がなくなり、より適切なコスト、内容で補強工事をすることができます。
③耐震補強設計・・・耐震診断の結果をもとに、耐力壁の追加や柱・梁を固定する金物の追加などの設計を行います
④耐震補強工事・・・計画を元に工事を行います
耐震診断の費用は?誰に依頼すればいい?
一般診断の費用は、約10万円というのが2021年の相場です。
精密診断については、診断のみの費用と補強設計もふくめた費用とで異なってくるのですが、診断だけの場合は20万円程度となっています。
どちらも、ほどんどの場合市や県の補助金の対象となっています。
耐震診断の補助金
例えば私の住む柏市の場合の補助金は、以下のようになっています。
耐震診断:耐震診断費用の3分の2(限度額4万円)
耐震補強:耐震改修設計費の3分の1(限度額10万円)
耐震改修工事監理費および耐震改修工事費の合計額の3分の1(限度額50万円)
(2021年度 本年度は受付終了)
お住まいの地域の市役所に相談すると、耐震診断の流れや補助金の申請の仕方を教えてくれます。
耐震診断ができる専門家リストも市役所にありますので、どうぞそちらをご利用ください。
私も既存建物耐震診断、改修講習会を受講していますので、柏市のリストに載っています。
ネットなどで高額なところもありますが・・
市のリスト候補者は経験や知識がある人たちです。費用が高いから内容が良いというものでもありませんので、まずは補助金を使う方向でご検討されるとよろしいかと思います。
当事務所の耐震診断費用
一般的な規模の木造住宅(40坪程度)であれば、一般診断は6万円でお受けしています。
※図面や確認申請書が無い場合は、別途費用をいただいています。
補強が前提となる精密診断は内容により異なりますが、10万円~15万円でお受けしています。
古い建物でも、途中で補強など含めたリフォームをしていくと、建物の寿命は大きく伸ばすことができます。
皆様に気軽に耐震診断・補強工事を考えていただきたいという気持ちから、相場より安い費用で設定しています。
当事務所の場合、古民家や土蔵など古い建物など
一般的なハウスメーカーでは手掛けないような建物を改修・リフォームする機会があり、
そのため、よりいっそう適切な耐震補強の重要性を感じております。
基礎がコンクリートでないような建物や土壁の建物、築100年の建物のリフォーム・耐震補強にも携わっております。どうぞお気軽にご相談ください。