木造伝統の技の勉強会 遠山記念館に行ってきました
- 2017/09/06
9月に入って急に秋らしくなってきましたね。
先週の日曜日は木造伝統工法の設計の先輩のお誘いで、遠山記念館の勉強会に参加しました。
遠山記念館は、埼玉県川島町にある、日興証券創立者の自宅を公開しているものです。
遠山記念館は、川島町出身で日興證券(現SMBC日興証券)の創立者・遠山元一の遺志に基づき、登録有形文化財である建造物の保存・公開、及び重要文化財6点を含む美術・工芸に関する資料の公開を行い、文化及び芸術の振興に寄与することを企図しております。
出典:遠山記念館HP
昭和初期に建てられた建物で、当時の木造デザインの粋をつくした、伝統木造や数寄屋の教科書のような建物です。わたしも5,6回訪れていますが、いくたびに新しい発見があり、知れば知るほど匠の技で作られているのがわかってきます。
昭和初期というと洋風の建物も民間に浸透してきた時代。お金持ちは洋風を部分的に取り入れた邸宅を作るケースも多く見られます。しかし、デザイン的には過渡期でもあり、凝りすぎた意匠が多く洗練された建物は意外と少ないという印象です。
しかし、こちらの建物は民家風、書院、数寄屋とそれぞれ異なるデザインが合わさっていながら、全体に統一感のある洗練された和風の建物となっています。ついつい技法のことに目が行ってしまいますが、ただ静かにお庭を眺めたり、見学をするのもおすすめです!
さて、今回は勉強会ということで何勉強をしたでしょうか?
建築の勉強会というのは建物を見学するのがメインのことも多く、今回もそうでした。何か頭で考えたり人に教わることも大事ですが、それよりも良い空間を実際に体験することが積み重なって基礎的な力を養っていく・・ということもありますが、こういう所に来る人は建物がともかく好きな人の集まりでもありますので、何かと理由をつけて建物見学をしていますね!
しかし、今回の見学は大工、左官、建具などの職人さんたちも一緒にまわる貴重な回でした。それも伝統的な建物に精通している勉強熱心な方が多く集まりました。各職方でしかわからない技法、見所などの解説が自然はじまり、自分ひとりでは到底見つけられなかったポイントを解説付きで回る贅沢な勉強会となりました。
見学会の後はディスカッションもあり、これからの木造住宅の行く末、本物の建物とは、作り手のこだわりはどうしたら伝わるのか、など白熱した議論が見られました。
最近は子どものことで時間をとられることもあり土日も家でパソコンにむかうことも多かったわたしですが、外に出るとそれだけ収穫があることを改めて感じた一日になりました!