住宅に手摺をつけようと思ったら│バリアフリー住宅のおすすめ手摺
- 2016/09/13
バリアフリーリフォームでも工事項目の上位にあげられる手摺の取り付け。身体機能が低下してくる高齢者にとって、自立支援と安全の支えになります。今回は手摺について取り上げてみたいと思います。
まずは手摺の基礎知識から。
1、種類・形状
●種類 福祉住環境コーディネーターテキストより
ハンドレール(hand rail)
階段や廊下にとりつける。身体の位置を移動させるときに、手を滑らせながら使われる。グラブバー(grab bar)
トイレや浴室などに、移乗のさいや、立ち上がり動作などに、しっかりとつかまって使用される。バリアフリー住宅の場合は両方を組み合わせて使いますが、歩行器を使う場合などは廊下のハンドレールは邪魔になる場合もあります。本人や家族、担当医師などと相談しながらすすめる必要がありますね。
●形状
丸型を基本としますが、身体特性と利用方法によって、必要な形状が変わってきます。
例えば関節リウマチや脳梗塞で手指がよく動かせない場合、手摺を握らず、手やひじを乗せて移動する方法もとられることがあります。
2、設置場所 これが全てではありませんが、代表的なものです。
●廊下手摺
歩行の補助に、壁に取り付けます。取り付け高さや形状は使う人に合わせます。●玄関縦手摺
上框を上がるときや、立ち上がる時の補助に。靴を脱ぎはきする時のちょっとした支えになるので、あると誰にでも便利な手摺です。●出入口手摺
ドアを開け閉めする時に身体を支えます。家具の一部につかまれるようにすることも出来ます。●トイレ手摺
座ったり立ち上がる時の補助に。手摺を取り付けるための補強を広く入れておくと、使用者に合わせて動かせるので便利です。●階段手摺
もともとついていない場合は、バリアフリーリフォームで取り付ける場合もあります。次は実践編です。
〇造作工事でつくった杉のシンプルな手摺
無垢の杉材を使って大工さんに製作してもらいました。杉は手あたりがやわらかく、触ったときにヒヤッとしないので住宅の手摺にお勧めです。
ブラケットが金属や樹脂製の手摺を家の中に取り付けると、公共施設のようになり違和感がある場合があります。ブラケットまで含め木製の物を既製品で探すと、高価なものになってしまうことがありますが、製作物だとリーズナブルに、内部のインテリアに合わせたイメージで作ることが出来ます。
玄関手摺は新築時から取り付けておくと、靴を脱ぐ時に手をついてできる壁の汚れも防ぐことができて、いいですね。
もう一つ。こちらはトイレに横向きに取り付けました。
スペースがない場合や、左右兼用にしたい場合に。〇断面が三角形の手摺
手や肘を面で支えるので、安全に移動することが出来ます。こちら、アイカ工業の製品ですが、他社からも何種類か同様の製品が出ています。もちろん、造作で製作することも可能です。
アイカ スライドレール〇断面がぎざぎざの手摺
山形突起が手に食い込み、少ない握力でもしっかり握ることが出来ます。突起の先端には丸みがついているので安全です。
上から見るとこんな感じになります。こちら、マスラー株式会社の製品です。豊島区の展示会に出品されていたのですが、触った感じがとにかく気持ちいい!手のひらのツボを押してくれるようで、ちょっとしたツボ押しよりも効果が高いと感じました。
滑りやすい浴室や、細い径のものを使いたい時などにも適していると思います。現在工事中のバリアフリー住宅の一部で使う予定です。
個人的には無垢材のものが、表面が自然なつやでお勧めです。
マスラー健康手摺〇おまけ・・・名作手摺
建築家、吉村順三は楕円の手摺をよく使ったそうです。握りやすくかわいらしい、コンパクトな手摺。こちらは事務所なので内装に合わせ、白く塗装してあります。
私のピンボケの写真だと良さが伝わらないと思いますので、ご興味ある方は目白の吉村ギャラリーに実物があります。吉村順三記念ギャラリー
http://www.yoshimurajunzo.jp/手摺もインテリアの一部です。直接手が触れるところだから、機能性だけでなく温かみがあり、見た目も良いほうがいい。住宅だけでなく病院や公共施設にも、美しく優しい手摺の設置を検討してほしいと思っています。