住宅でも考えよう│建物の4つの収支
- 2016/08/24
建物の収支を考える
建物収支(同意語で建築収支)という言葉があります。これは、例えば賃貸マンションの計画をするときに出てくる用語で、建設費と諸経費をあわせた「支出」、家賃収入から修繕費や保険料などを差し引いた「収入」を計算し、採算がとれるかどうか判断するものです。
長期的な視野で収支計画を立てて、赤字経営にならないように事前にチェックするんですね。
住宅の場合は「収入」にあたる項目はないし、事業ではないので、収支を計算することは行われていません。しかし、この考えを取り入れると、家を建ててからのランニングコストが具体的にイメージしやすく、貯蓄などの計画も立てやすくなります。
また、何年もつ住宅にしたいか、年金生活になったときに光熱費が生活を圧迫しないか、年を取ったときにリフォームが必要となるのはどの部分か、など家の性能を収支と合わせて考えていくと、建築費のなかで削ってもいいところ、初期投資はかかっても長い目で見ると収支がプラスになるところ、なども判断しやすくなります。
家計を運営する事業主になったつもりで、収支を考えてみてはいかがでしょうか。
~収支の種類~
収支も注目するポイントによって、様々な種類が考えられます。
(一部バウビオロギーテキスト5 建材と部位のエコ収支 参照)1.コスト収支
賃貸経営で重視するのはこの収支。建築費だけでなく、清掃費、メンテナンスにかかる費用、解体費用なども含まれます。
2.エネルギー収支
最近は気にする人も多くなってきた、暖房や給湯に関わる収支。エネルギーに全体支出は、コスト全体、かつ建物の環境収支へ重大な影響を及ぼします。
3.リスク収支
建材に対する安全性の収支です。健康被害を起こす、などリスクの高い建材は収支がマイナスになることも考えられます。
4.環境収支
毒性があったりして廃棄物がリサイクルできない建材、製造過程で光化学スモックを出す製品などは環境収支がマイナスになります。建物が長寿命であることは廃棄物が減るため、環境収支にとって大きなメリットになります。
長期的にコスト収支が合うことはもちろん、さらに次世代のことを考えると、その他のエネルギー収支、リスク収支、環境収支も大切ですね。
マンションのことを考えると、修繕費を積み立てるのは当たり前。特に反対する人はいないと思います。ところが住宅の場合はどうでしょうか。修繕にお金がかかるのは同様なのに、そのために積み立てをしている人は少ないと思います。
住宅にも収支という考えを取り入れれば、いざ必要となったときに慌てることがなくなり、計画的に資産を活用する助けになりそうです。