木造住宅の寿命は?リフォーム・リノベーション無しで住めるのは何年くらい?
みなさんは住宅の耐用年数は、どのくらいだと思いますか?
木造の建物の耐用年数を考える時、本来は法隆寺のように長いと言う人、せいぜい50年くらいしか持たないと考える人、様々な意見が出てきます。
実は、どちらとも間違っている訳ではありません。
法隆寺のように木造の建物が長持ちするための条件は、次の通りです。
・材料や気候のことを踏まえてしっかりとした工法で建てられている事
・メンテナンスが隅々に行き届いている事
そのように良質な建物であれば、100年・200年でも手入れをしながら使い続ける事が可能です。
では、現在建てられている木造住宅はどうなのか?と考えてみると、残念ながらそこまで耐用年数が長い住宅はほとんどありません。
それはなぜでしょうか?
・もともとの建物の強度が低い
・雨漏りなどで部材が傷んでいる
・キッチンや風呂などの設備が老朽化している
・窓や断熱材の性能が低く住みづらい
・耐震性が低い
などの理由が挙げられます。
耐用年数や、建物にどのようなリフォームが必要なのかは、実際に調査をしてみないとわかりません。
しかし、耐震性や住みやすさのことを考えると、西暦2000年より前に建てられた木造住宅にはすべて性能を向上させるためにも、リフォームが必要と考えていいでしょう。
一般的にリフォームやリノベーションを行うタイミングは?
一般的に、リフォーム・リノベーションを行う目的は大きく2つに分けられます。
1.身体の状態や家族の状態、ライフスタイルが家に合わないので改善したい。
2.家の状態が悪いので改善したい。
それぞれについて、どんなタイミングでリフォームするのがベストでしょうか?
1.身体の状態やライフスタイルに合わせて改善する場合
「お子様が大きくなってきて、子供部屋が必要になった」とか、「病気で怪我をして車椅子になった」などの場合がこちらです。
中古住宅を購入して、間取りや内装を変更するのも、ライフスタイルにあわせた改善に該当します。
改善の目的がはっきりしているため、リフォームやリノベーションの計画や予算を明確にしやすいのがこちらのケースです。
今現在、すでに間取りや部屋数などの不便や不満を感じている場合や、近い将来に子供が増えるなどの変化が見えている場合は、すぐにリフォームを検討して改善する必要があります。
2.家の状態が悪いので改善する場合
「キッチンが古くて使いづらい」とか、「家が古くて地震の時にどうなるか心配」といった場合がこちらです。
性能の悪いところ、古くなって使いづらいところを直すリフォーム工事が必要になります。
しかし、住み続けている住宅の場合、多少不便を感じていても、不便な状態に慣れてしまっていたり、工事を頼むのが面倒といった理由で、我慢しながら住み続けている人がとても多くいらっしゃいます。
また、奥様の場合であれば、旦那様の反対を受けてしまうケースもあります。
この場合、今のところ大丈夫だから、と言う気持ちが大きな壁となっています。
その気持ちは私も充分理解できます。
しかし、少しのリフォームで家の暮らしやすさや快適性は大きく変わります。
また、性能を良くするリフォームでは住人の寿命までもが変わってきます。
性能の低い古い家に住み続けると言うのは、安全面や機能面を考えるとすごくもったいない事だと感じています。
古い家をリフォームするメリット
古い家で特に問題になってくるのは耐震性や断熱性が低いことです。
○ 耐震性について
建物が地震に対し必要な強度は建築基準法で定められています。
建築基準法は1981年と2000年に大きな改正があり、それ以前の住宅は強度不足のため不安が大きいのが実情です。
詳しくはこちらの記事をごらんください
→https://sumai-shohousen.com/mokuzou-taishin-230
2000年以前に建てられた住宅は、現在新築で建てられる住宅の半分程度しか耐力が無い場合がほとんどです。
○ 断熱性について
古い家が寒いということは皆さんも感じていると思います。
断熱材や窓ガラスのリフォームで冬の室温が上がると心臓や血管への負担が減る事がわかっています。高血圧の人ほど家の対策は重要です。
また、家の断熱性が上がると快適さが向上するだけでなく、省エネにもつながります。
耐震性や断熱性は住み心地や安全性にかかわる重要なポイントです。
ですから、この部分を思い切ってリフォームすると
・不安がなくなり安心して暮らせるようになった
・トイレに行くのが楽になった
・朝起きるのが辛くない
・以前の家より身体が楽になった
など、どのお客様も結果に大変喜ばれます。
工事は早ければ早いほどメリットも大きくなります。
ですから、家の状態が悪いケースもなるべく早めのリフォーム・リノベーションをお考えください。
特に築40年を超えている場合や高齢の両親が住む家の場合などは、ご家族からリフォームについてご提案や相談をしてみるのが良いかも知れません。
親や親族から引き継いだ住宅をリノベーションする場合の注意点は?
○ チェックしたい「家の基本性能」
中古住宅を売買する場合は専門の資格者が基本性能をチェックする「インスペクション」という制度があります。
不動産会社は建物の専門知識があるのに対し、家を買う人普通の人には専門知識がありません。それでは家やマンションの性能がいまいちよくわかりませんね。
欠陥住宅を知らずに購入することのないように、中立の立場の専門家が雨漏りや床、壁の傾きなどないかの調査を行うことができるようになっています。
この制度は今年から本格的に始まった新しい制度ですが、売買ではなく家を引き継ぐ場合でも同じように「家の基本性能」を知らないと雨漏りや、シロアリ被害、建物内部のカビなどに悩まされることになりかねません。
雨漏りに関しては天井のシミがないかなどのチェック、シロアリ・カビに関してはは床下の換気がとれているかなどをチェックしてみてください。
わたしも「インスペクション」の資格者で何度か木造住宅の調査をしていますので、専門的な調査のご依頼、ご相談も承っております。
○ 「耐震性」もチェックしよう
基本性能に含まれるチェック項目で、特に重要なのが「耐震性」です。
建てられた年はいつでしょうか?
建築基準法は時代に合わせて何度も改正が行われていますが、1995年の阪神大震災の教訓を踏まえ2000年に大きな法改正がありました。
そのおかげで2000年以降に建てられた建物は地震の時に倒壊しにくい構造になっています。
耐震性がない建物が少しの地震ですぐに倒壊するわけではありませんが、地盤の強度や揺れの方向によってはどうなるかわかりません。
簡易的な耐震診断ならご自分でもできますので、チェックしてみてください。
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2013/11/wagayare.pdf